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書評「人民元は覇権を握るか―アジア共通通貨の実現性」「国家とはなにか」

「人民元は覇権を握るか―アジア共通通貨の実現性」中公新書 中條 誠一 2013年  米ドルが基軸通貨であるためにシニョリッジによる利益を得ていることなど、アジア圏をめぐる国際金融についてわかりやすく解説している。米ドルに代わるアジア基軸通貨として円か人民元かというより、アジア共通通貨を提唱しているが、EU諸国以上に諸国間の経済格差が大きいアジア圏において、現実的なのか疑問。  アジア通貨危機の時のように、米ドルに連動して為替価格が変動するペッグ制に問題点はある。しかし、ヨーロッパでも英ポンドがユーロと併存しているわけだし、共通通貨ユーロがよってEU域内の経済格差を反映していないから、経済強国であるドイツの利益になっているといった批判をどう考えるのだろうか?共通通貨を楽天的に評価しすぎているという印象。

「国家とはなにか」以文社 萱野 稔人 2005年  「カネと暴力の系譜学」の元ネタ本とみなせばよいのだろうか。徴税による暴力を行使する国家が所有に先行した、資本主義と国家の存在は切っても切り離せないと説く。国家を想像の共同体とする議論を批判、暴力行使による運動の実体であるとする。  前半に比べて後半はかなり難解な哲学的用語が出てくるので、読みにくい部分がある。筆者による解説があるので理解できるが。  現在の社会批評はなく概念論で終始しているから文句のつけようがない、という感じ。

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