top of page

書評「歴史の作法」山内昌之

書評「歴史の作法」文春新書 山内昌之 2003年

 古今東西の歴史書を取り上げ比較検討、歴史的事象の羅列に留まらず、かといって抒情的表現や理想主義一辺倒でもない、リアリズムと理想主義のバランスが取れているものが優れた歴史書とする。歴史書において、叙述も重要であることを説く。個々の事象を軽視するアナール学派には批判的。  ウォーラーステイン等の世界システム論について、ヨーロッパ中心の世界経済のダイナミズムを強調するあまり、モンゴルのユーラシア統一など歴史的実体としての世界史の成立を無視ないし軽視するもので、本省では取り上げないとする(序文P15)。これには納得した。  「反権力を自負する学者たちが専門家としての権威を自明のものとし、自分たちの閉ざされた世界で権力を誇示する現状に無自覚」であると、日本のアカデミズムに見られる現象を批判(P164)。「資本原理主義」批判をしつつ、専門知に対する人文知の専門家である自分たちが教養の中核やってるから最も重要だと言っているような連中に、この言葉を投げかけてみたいものだ。

特集記事
後でもう一度お試しください
記事が公開されると、ここに表示されます。
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page