2019年度日本高等教育学会自由研究発表の概要
大学進学率の男女差と学生の進学先に関する実態の時系列分析
-女子大学進学率上昇は如何なる影響を及ぼしているか-
Ⅰ 趣旨
下記の課題について実態及び背景を探るべく、各種時系列データを総合して検証する。
課題Ⅰ:進学先としての大学、学部の選好に関する男女差が薄まってきている可能性
課題Ⅱ:人文・社会系に比べ保健系や教育・家政系分野の学生は地元志向が強いのでは
ないか。
Ⅱ 分析方法
以下の変数について、原則、2001年~2018年の18年間×50地域(47都道府県及び南関東、中京、近畿の3ブロック)=900個のデータを基にパネル分析を行う。
(従属変数)
特定地域における大学、及び特定学部分野に在学する学生数の、同年代若者人口に占める割合の近似値である「大学収容率」
(独立変数)以下の19変数
1)大学類型別学部在籍者数シェア(構成比)
国立、公立、私立1(開学時期1950年以前)、私立3(開学時期1975年以降)
2)18歳人口規模(直近4年間累計)
3)大学進学に関する指標
女子進学率、同流出率、同入超率、及び各比率の男女格差
4)大学教育の質に関する指標
国公立、私立大学の学生数・教員数比率(ST比)、教員1人当たり科研費
5)経済的要因の指標
大卒初任給女子、同初任給男女格差、大卒高卒初任給格差(男女別)、完全失業率
Ⅲ 大学進学に関する状況
保健系、教育・家政系、芸術・教養他系の在籍者数が大幅に増加する一方、人文・社会系及び理工農系が減少。人文・社会系のシェアが5割を割る
若者人口が約23%減少する一方で、大学収容率は15%pt増加、約54%に達する。
女子進学率が大幅に増加する一方、男子進学率は2010年頃以降頭打ち。
進学率の男女格差は減少。流出率は男女とも減少し続けており地元志向が強まっているが、男女格差が若干拡大している。
Ⅳ 分析結果
(総括)
・東京・京都一極集中が顕著、ブランド大学志向が強い人文・社会系。
・男女間格差が拡大傾向にある理工農系
・地元志向型の女子に人気な実学志向の保健系、教育・家政系。特に保健系は地方で人気。
・大都市圏では地方に比べ進学率の男女格差が解消されてきている一方、男子に比較して女子 の地元志向傾向が顕著。
・「地方から大都市への学生流出」よりも、大都市圏内における大学間競争が激化(特に人 文・社会系)。
(独立6変数モデル・全国)
ア)女子進学率と女子入超率の係数が全てにおいて0.1%有意。
女子進学率で人文・社会系の係数が最大、この分野で収容率の地域間格差が他分野に比べ 大きいことが原因。一方、理工農、保健の係数が比較的小さい。
イ)女子入超率でも人文・社会系の係数が最大であり、進学に伴う学生の地域移動の影響を受 けやすい。一方、保健系や教育・家政系の係数が比較的小さく、地元志向型の女子が比較的 多いと考えられる。
ウ)男女格差
進学率格差は理工農系以外の全てで係数マイナス。流出率格差、入超率格差共に理工農系 が最大。女子は男子に比較して、理工農系を、特に出身地以外の理工農系学部への進学を敬 遠する傾向が強まっている。
Ⅴ 今後の課題など
・時間不足のため、4年制大学と短大との競合関係は未検討である。
・質問紙による抽出調査結果との対比。
進学先の大学、学部の選択と地域移動との関係について、学生の出身地域及び性別、希 望学部分野、自宅外通学の可否、親の学歴や世帯収入など、総合的な観点からの質問調 査をどなたか実施していただけないものか?
I'M AN ORIGINAL CATCHPHRASE
I’m a paragraph. Double click here or click Edit Text to add some text of your own or to change the font. This is the place for you to tell your site visitors a little bit about you and your services.
I'M AN ORIGINAL CATCHPHRASE
I’m a paragraph. Double click here or click Edit Text to add some text of your own or to change the font. This is the place for you to tell your site visitors a little bit about you and your services.